かつての栄華を残すローカル線の豪華な無人駅 【西岩国駅】
こちらのいかにも豪華な造りの駅!
スタイリッシュで目を引く建物ですよね!
そんなこの駅ですが、長くても2両のディーゼルカーしか止まらないローカル線の駅です。しかも無人駅です!!
1時間に上下線合わせても2~4本の列車しかやってこない(しかも、清流錦川線という第三セクターが乗り入れるため、実質はもっと少ないです)この駅が、なぜこんなに豪華なのかをご紹介したいと思います。
【西岩国駅の場所】
岩国とあってピンと来た方もいるかもしれませんが、ここは山口県下2番目の都市、岩国市にあります!
そして隣の駅は、大動脈である山陽本線の広島エリアと山口エリアの境目である、拠点駅の岩国です!
【レトロな雰囲気が残る駅構内】
外観はもちろんですが、駅の中やホームもレトロで歴史を感じることが出来ます!
駅舎の所有は岩徳線を運行するJR西日本から岩国市に移っていて、更にNPO法人の西岩国・駅と広域まちづくりの会が実際の管理を担っているそうです。
かつての駅の出札と改札を行うための窓口は、現在、上記のNPO法人の事務所になっています。
室内もレトロな雰囲気に溢れていて、現代の駅とはまた違った良さを味わうことが出来ます!
設置されている椅子も、木製かつ直角の座面が特徴であり、レトロさを感じさせるものになっています。
ホーム案内も木製の看板によって行われていて、現在は形だけ残っている改札も木製です!
ホームは非常に長く、特に駅舎側ホームは駅舎と一体化した造りになっていて、かつての風景を彷彿させます!
【豪華な駅の理由と岩徳線の秘密】
さて、ここまで豪華でレトロな西岩国駅を紹介してきましたが、なぜローカル線の駅である西岩国がこのように、力の入った造りになっているのでしょうか?
それはこの路線図を見てもらうと分かるかもしれません!
この岩国と徳山を結ぶ岩徳線は、大動脈山陽本線の短絡ルートを通っていて、実際に営業キロも山陽本線よりも岩徳線の方が短くなっています!
実は、かつてこの岩徳線は山陽本線だった時代が僅か10年間だけあったんです!
しかも、この西岩国駅こそが街の玄関口である、岩国駅とされていました!
1934年の岩徳線開業に伴って岩国駅となった現在の西岩国駅は、市街地の移り変わりに伴い1942年には現在の岩国駅にその座を譲り西岩国駅となりました。
また現在の岩徳線は、海側を走る山陽本線の短絡ルートとして、山陽道に沿ってトンネルで山を抜ける目的で建設されました!
現岩徳線は、1934年に全通するとそのまま山陽本線となり、現在の山陽本線は柳井線となりました。
しかし、山陽本線を複線化するにあたり、現岩徳線(当時の山陽本線)では、勾配やカーブが多く、長大トンネルをもう一本作らなければいけないという事が懸念され、柳井線(現在の山陽本線)を複線化することとなり、柳井線が正式な山陽本線として1944年に復帰しました。
僅か10年間の間だけ、山陽本線という役割を果たした岩徳線は、現在単線非電化のローカル線として建設当初とは異なる役割を担っているんです!
その名残として、本線級の長大列車が入れるような長いホームや有効長が今でも残されているんです!
そして、駅も一瞬ながらかつての岩国駅として活躍したその姿を今も残しているという訳でした!
ちなみに西岩国駅からは岩国のシンボルである錦帯橋が近く、バスや歩きでアクセスすることが出来ます!
是非錦帯橋に行く際には、立ち寄ってかつての栄光に思いを馳せて頂けたら嬉しいです!
駅名も役割も変わっても、今も地域の足として活躍する西岩国駅と岩徳線。
地味ながら興味深い存在なので、是非訪れてみてはいかがでしたでしょうか?!